Backstreet Crush



そして僕は途方に暮れる。







 僕の周りには悩みを持つ小羊が多すぎる。



 喧騒。動乱。痴話喧嘩。世の中全てのグロリアスレヴォリューション。



 「彼女とうまく行かないんですけど」「最近からだの調子が悪くて」「売上が上がらなくて」「パソコン買い換えたいんだけど良いの無いかな



 どないすればいいんやと叫びたくなる気持ちもつかの間。ストーブの乾いた温風が僕の心を癒してくれる。黄昏の日曜日。午後7時。

 おもむろにFゼロを押入れから取り出し、黄色く変色した僕の愛機「スーパーファミコン」にセットする。





 僕の指先が愛車「ファイア・スティングレイ」と一体化する。風を切る。空虚な2次元の近未来都市「MuteCity」をすり抜ける。

 僕は、風だ。



 僕は、光だ。



 僕は、炎だ。



 僕は一人、暗闇の世界を走り抜ける。一陣の風となって。光となって。





 気づいたら午後10時。





 現実の喧騒から離れ、未来都市を散歩した僕の心は静寂を取り戻した。

 コレだからFゼロはやめられない。

煙草や阿片のように、僕の心を取り戻してくれる魂。Fゼロ。「MuteCity」で2分を切るために費やした僕の青春。魂の叫び。Fゼロ。最高だ。



 え?誰もやってないの?うそ。マジ?知らない?サムライゴロ―とか、キャプテンファルコンとか?いや、ほら、ビックブルーのBGMとかって聞いた事無いの?あの名曲?ちゃーらーららーらーらって奴?古すぎる?ダメ過ぎ?



 え?





 ぽっつーん













 そして僕は途方に暮れる。


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