SELDOM‐ILLEGAL―時には、違法

SELDOM‐ILLEGAL―時には、違法
 ふと、本棚の奥に並ぶ、埃を被った本達を整理する。
 その中に「SELDOM‐ILLEGAL―時には、違法 / 坂本龍一」がありました。
 20年前の、相当に古い坂本龍一のエッセイ集です。
 そして、僕の文体(特にこのブログ)から活動スタイルにいたるまで、様々な部分で僕の栄養素になってくれた大事な一冊です。
 音楽の授業で聞いた「音楽図鑑」で打ち抜かれ、「千のナイフ」「未来派野郎」で坂本龍一にノックアウトされた僕は、その後彼の書籍、エッセイ、評論には全て目を通すようになりました。あ、もちろん音楽もね。
 それでも、この本を初めて読んだときは、それはもうサカモトが大嫌いになりました。なんだこの上から目線のいやな男は。何を軽々しくバブリーな話をしてやがるんだこのサカモトっっちゅう奴は。と中学生の頃思いながら読んでいました。(じゃあ何で読んでるんだよ。という突っ込みはおいておいて)
 でも、僕自身が大きくなるにつれて、上から目線とかそんなことは全くどうでも良いことなのだと理解してきまして。自分が楽しんで世界を走り回って生活すること、肩に力を入れないこと、肩書きや権威に惑わされないこと、自覚無く屈託無く生きる事、など、生きる上で大事なことをこの本から学びました。
 この本はとにかく坂本龍一のモノローグ。長電話のように希薄な、ただ彼が思いついた事をぽつぽつと書き並べただけの作品なのですが、それゆえに彼の無意識にあるもの、生活と思想の擦れる部分が見えていて、僕は「大人になるってこういうことなのか。早く大人になりたい」と思っていました。いまだに僕がブログでモノローグを延々と語り続ける理由も、きっとこの本の影響です。
 別に名言があるわけでもない。ストーリーがあるわけでもない。そんな、この本を読んでいると、不思議と心が落ち着くんですね。
 (余談ですが音楽を奏でる人の書く文章と、数学を理解する人の文章って、基本的に非常に似通っていて、且つ洒脱な文章が多い気がします。僕の尊敬する最大のエッセイスト吉村浩二さんも音楽家だし。)
 ふと、何か自分が立ち止まったときに手にとることの多いこの本。また改めて読み返し、自分がやるべきことを思い直しています。
 あ、また「やるべきこと」なんて言葉つかっちゃった。「べき」なんて言葉自体必要ないんだよな。自分がすること。そして面白いと思うこと。そのうちにやっちゃうであろうこと、が見通せてきた、に言い換えます。
 このタイミングで、この本を手に取ったのも何かの縁だと思います。
 多分明日からのブログは、またこの本に影響された文章になるんだろうなぁ、きっと。僕、影響されやすいもので。
 それじゃあ、また。

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