福岡町第二区獅子方若連中!

 世間は911がとても印象的な一日になっておりますが、僕には910が更に思い入れ深いです。
 9月10日は、富山県福岡町で秋季例大祭・獅子舞が行われる日なのです。誰も聞いてないって?
 高校3年まで、毎年僕も舞ってました。
 でも、大学に出てくると共に、僕は全く実家に戻らない駄目息子となり、獅子舞からも疎遠になりました。
 それから20年。夏休み後の9月10日なんて、社会人にはなかなか実家に帰ることも出来ません。ずっとずっと、20年近く、獅子舞は目で見ることも耳で聞くことも出来ない、遠い世界のものになってしまっていたのです。
 あ、前提知識として。
 富山県にはその数1万3千を超える獅子頭があり、数千に渡る獅子舞が伝承しています。
 県外の人に言うとキチガイ扱いされますが、富山県民にとって獅子舞は日常なのです。
 
 富山県には、オフィシャルに「富山の獅子舞百選」なんて選別がされていたり(百に選ばれるのは本当にごくわずかです。)、地震速報のごとくgooglemapによる「獅子舞状況一覧」なんてコンテンツが存在したり、30年以上も前から獅子舞大競演会なんていう天下一武道会的なものまで開催されていたりする地です。香川のうどん以上にフュージョンしてます。それくらい皆さん獅子舞が大好きです。大好きというか血であり肉であります。
 で、
 そうなると、たくさんの獅子舞コンテンツがYoutubeにも存在することになり、自分の地元の獅子舞をネット上で見つけること自体が逆に難しくなるのですね。知らない人から見たら「どれもいっしょやん」といわれるかもしれません。でも、金蔵獅子、礪波獅子、氷見獅子と様々な種類がある上に、囃子を聞くだけでどれがどこの獅子舞かわかるくらいではないと富山県民は名乗れない世界(僕が決めました)。その中で、やっぱり自分が舞っていた獅子舞をきちんと見たかったんです。
 この10年間。僕の在籍した獅子舞団体(青年団)による獅子舞の記録は、広大なインターネットの世界の中でただこの一ページ。いつか僕も記録に残したいと思っていましたが、けんかやまの記録保存を先に充実させてから、という思いもあり後回しになっておりました。
 が、
 今回、僕の属していた青年団を、Tweetcastでライブ中継してくれた人が居たのです!
 alovesunさん、ありがとう!
 獅子舞は朝6時半から丸一日かけて廻りますが、一番のクライマックス、深夜0時の「獅子殺し」、1時間に渡る長演目をしっかりとiPhoneで撮影してくれました。
 ・・・それも、とても熱い解説付きで。富山弁丸出しの、でも僕の琴線鳴らしまくりの。

 ソーシャルメディア、ってすごい。です。
 全世界に配信して、一体どれだけの人がこの獅子舞を見るのか。
 はっきり言って、10数名も見たら御の字ではないでしょうか。
 でも、僕は一人で千人分以上見ます。数字で計算できない「思い込み」というものを付加して。
 この笛と太鼓のトランスを感じながら日々深夜の生活をがんばるのです。
 コストベースで考えると、どうしてもビジネスシーンには乗らないし、そのために記録も放送もされてこなかった。でもその人にとって大事なものを伝えたい人が居て、受け取りたい人が居る。すると、そこには「価値」と「喜び」が生まれる。
 それがソーシャルメディアの本質ではないでしょうか。TwitterやFacebookという仮面が問題ではありません。僕にはどんなテレビ番組より、この放送に価値を感じるのです。
 多分このブログを見てる人の一部しかこの動画をクリックする人は居ないと思いますが(そもそもここまでこの獅子舞話を読んでる人も居ない気がする)、見てもらうと獅子舞がどういうものか、わかっていただけるのではないかと思います。さあ、見て。ほれ、見て。そして僕と語りましょう獅子舞のその熱さを。造詣の美しさを。囃子のグルーヴを。伝統の重厚さを。民俗伝承の素晴らしさを!(誰かとめてくれ)
 おほん。
 とはいえ、いきなりこの福岡町第二区獅子方若連中 演目「獅子殺し」を見せられても何がなんだかわからない方も居ると思います。基本僕のノスタルジーだけで語ってますので。
 ですので、僕のYoutubeファイルから、「良くわかる富山県獅子舞」をいくつかご紹介して、今日のブログを締めくくりたいと思います。日々獅子舞の動画を沢山集めてますので、僕のチョイスには相当自信ありますよ。ふふふ。(ニーズは無いですが)

 高岡市立野の氷見獅子。非常に忠実。お手本のような獅子と剣持の舞です。剣持のつま先から獅子頭の噛み方まで、とても勉強になります。富山全体に伝わる囃子「ぎんばやし(ところによってげんばやし、きんばやし、とも)」を演じています。

 その筋では有名な「六渡寺」の獅子舞。独特のうねる低音グルーヴが響きます。
 天狗が獅子頭に刀を取られてうろたえ、悩んだ末に仲間と共に一計を案じ、刀を取り戻す。そして退治。これは壮大なオペラです。この演目、氷見獅子の中でも貴重なものではないでしょうか。少なくとも僕の地方にはありませんでした。

 重要文化財としても保存される、伏木一宮の獅子舞。また伏木か!と言われそうですが、曳山も獅子舞も、どちらも伏木は一流なのです。各家への舞い込み、1分40秒辺りからの身体のキレ、小天狗の動き、赤獅子の朱塗りの色。どれをとっても最高です。

 もう一つ有名どころから、辰の口の獅子舞です。天狗と獅子頭が生み出す舞いの美をお楽しみください。天狗、剣持の動きに特徴があり、剣の扱いが綺麗です。長く、シャープな剣さばきです。

 そして氷見獅子の本場はやはり氷見市。野蛮という無かれ。これは日本における「闘牛」なのです。

 最後、ここまで見てくれた方へのプレゼント。こんな長文ブログを読み進めてくれた方は、獅子舞の魅力を理解してくれた人だと信じています。なので、非常にレベルの高い獅子舞を(ここまでもレベルが低いわけでは決して無いのですが)。獅子舞百選にも選ばれる、江柱の獅子舞で締めくくりたいと思います。冒頭の笛の音、たいまつの輝き、天狗の身のこなし、ご覧になってください。獅子舞天国の富山県で、百に選ばれるレベルが一体どういうことなのか、感じてください。
 ・・・紹介したものが全て「氷見獅子」になってしまいましたね。富山にはこれ以外に様々な獅子舞の種類が存在しております。今度僕にあった方には熱く語りたいと思います。逃げないでください。
※注 – 今調べましたら、立野も六渡寺も伏木も、皆百選に選ばれた獅子舞でした。すみません、僕の不勉強でした。

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