傲慢読書情報

正月から素晴らしい小説を読んだ。
大好きな作家の有名作品なのに、なぜか手にすることのなかったこの作品。エンタテイメントとして、物語として優れている上に、言語実験としても比類ない。本当に日本語話者で良かったと思う。翻訳も映像化も文字通り不可能。虚構かつ現実、そしてメタ虚構。そりゃこんな作品書いてたら哲学にも傾倒するだろう。
なにより、筒井作品の中でここまで物悲しくなったものはない。なんだろう、語ることのなかった自伝的性質も、情交も全てが消えていく夢のような悲しさを伴う。失われていく世界、記号が手に取るように見えるからなのか(それこそがこの作品の根幹でありテーマです)
この小説に敬意をしるして、僕もこの感想から、五十音の一番初めの音を落としてます。これだけで何の作品かわかる方はピンとくるでしょう。
と、隠すのも野暮なのでタイトルを言うと「残像に口紅を」です。

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