騎手 河内洋

 一日遅れてますが、河内洋騎手、日本ダービー優勝おめでとうございます。
 いや、面識全然無いんだけどね。
 「栗東の青年団長」なんてニックネームで人望厚く、武豊の兄弟子・・・と言えば競馬を知らない人でもある程度イメージが湧くのではないでしょうか。全然湧かないって?
 いや、おいらはこのおっちゃん単純に好きなんですわ。だから純粋にダービー優勝を祝福するわけで。どことなく漁協のキャップが似合う細目に出っ歯の気のいいおっちゃん・・・眼鏡をかけたら典型的じゃぱにーず。なんかそばに居たら和んでしまいそうな雰囲気をもつ大人って感じだね。
 しかし人がいいだけじゃ勝負師は勤まらない訳で、エピソードを一つ。

 これはあくまで未確認情報というかうわさレベルのお話で、真偽の程は定かで無いのだが、あるレースで、ある騎手が自分の乗る馬にかなりの大金をかけたという(馬券を買っていたのか仲間内で賭けていたのかは不明。どっちにしても違反だけどね)。もし勝てばかなりの金額が手に入る。それほど自信があったらしいのだが、その通り、直線では見事に抜け出し、後はゴールに入るだけとなった。そのとき、1頭の馬が素晴らしい脚色でその馬に並びかけてきた。河内の馬だった。

「河内さん、俺、この馬に賭けてるんや。頼む。許してくれ!」
そのとき河内は、ニヤっと笑ったという。そして、鞭を入れると一気にその馬を交わし去っていった。
                (出展:名馬&名勝負’97/黒須田守)
 有象無象の勝負師達がしのぎを削る騎手界において、こういったエピソードがまことしやかに流れてくるところがこのおっちゃんの真骨頂。勝負師の中の勝負師だね。
 知ってる人は知ってると思うけど、今年のダービーでは天才武豊の、本場イギリスでもまだ一人しか達成していない「ダービー3連覇」がかかっていたわけなんですね。その野望をほんの7cmの差で兄弟子がぶち壊した訳わけだ。わちゃあ、人が聞いたら「大人気ない」と言う人も居るかもしれないが・・・。勝利ジョッキーインタビューのとき、インタビュアーの「武豊さんの3連覇を阻みましたね」との質問に、河内のおっちゃんは「それゆうたらあかんやろ、騎手は。」と、ニヤっと笑った。
 この顔にドキッときたね。この笑みは、先のエピソードの笑いと同質のものだろう。もちろん武が「河内さん、許してくれ。」なんていった訳じゃないけどね。この人の笑顔こそが、勝負師の顔なんだろうなあ。
 こういうドラマが見られるから競馬は止められない。馬券は買わないけど。博才無いんで。

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