Jarreau

 満月の夜に、Jazzを聞く。とてもオシャレな言葉の響きだと思う。


 そもそもオシャレと言う言葉自身がオシャレではないと言う向きもあるが、気にしない事にしよう。細かい事にこだわり、議論するのは若者の特権だ。僕は既に若者じゃない。うるさいわ。


 半月や新月の夜とは違う世界が、満月の夜にはある。それは、その、なんと言うか、いつもは「いい人」と同僚や友達の女の子に言われている心優しい男性が、呑み会の後タクシーで自宅まで送った直後いきなり狼男になると言う伝説や映画が世界各地にある位だ。そうだっけ?と言うわけで僕も満月の夜には、狼男になってYちゃんやT子を口説き落としに


 では無かった。満月の夜には、Jazzを聞くのである。書き出しを失敗した。「狼男になろう」で始めれば良かった。年を取っても、間抜けぶりは変わらない。


 いつもとは違う夜に、いつもは聞かないアーティストを聴く。これも夜の楽しみ方の一つだ。一人でエッチしたり、二人でエッチしたり、三人で(中略)ばかりが夜の楽しみじゃない。いつもとは違う楽しみ方をするのも、粋なものだ。ただ、そうなってくると、いつもとは違った姿勢で夜を迎えたほうがいいと思う。


 別に、違った姿勢と言っても、うさぎ跳びのポーズになったり、匍匐前進のポーズを取ったり、松葉崩しの(中略)、そう言った事ではない。心の姿勢の事だ。


 満月の夜は、ノリノリではない。どちらかと言うと、しっとりと、穏やかに、落ち着いて楽しみたい。狼男になってしまえば、それはもうノリノリのイケイケのハメハメの突き突きでイクイクなのだけれど。


 どちらかと言うと、気持ちを落ち着けつつ、それでいて楽しめる夜を過ごしたい。そういう心持ちでありたいし、そういう心持ちを理解してくれる曲を聴きたい。


 だからこそ、僕はJazzを聞く。いつもの様にDeepPurpleやStonesやQueenを聴いても良いのだが、それではあまり落ち着けない。なんら日常と変わらなくなってしまう。たまには、変わったプレイを楽しみたい。プレイて。


 そんな時には、僕は、Al Jarreau(アル・ジャロウ)の曲を聴く事にしている。どこがどう「そんな時」なのかは気にしないことにしよう。細かい事にこだわり、議論するのは(略)。


 Al Jarreauは果たしてJazzなのか、と言われると困ってしまうのだが、Jazzとしておいた方が言葉の響きがカッコ良かったのだ。すまん。許せ。

 それはともあれ、満月の夜と、Al Jarreauは本当に食い合わせが良い。お団子とすすきと満月の夜と言うのも定番セットだが、お(略)ことススキノと満月の夜と言うのもまた気持ち良い。すまんもとい、Jarreauと鈴木と満月の夜と言うのも素敵なセットだ。鈴木と言うのは僕の友人である、気の置けない素敵な女性だ。いや、別にこれは鈴木に限らない。良い仲間と一緒に満月の夜を過ごすのは、素敵な事だ。


 満月の夜に、お団子とお酒を準備して、Jarreauの「Spain」を聴く。生きてて良かった、と思う。「Alonzo」を聴く。隣に居る人を大事にしたい、と思う。「Never Givin’ Up」を聴く。明日からもがんばろう、と思う。クラブやライブで聞くときとはまた違った感情が沸き起こる。穏やかに、そして素直に感謝の気持ちが沸き起こる。いつもは捻くれて生きているけど、こういう時だけは、素直になれる。そして自分の欲望にも素直になり、狼男になるのである。がおー。


 でも、襲い掛かるような事にはならない。狼男になっても、その気持ちをまた、Jarreauの歌声が諭してくれる。気持ちの良い風が吹く。月の光が流れ込む。満月も、お団子も、僕の気持ちも、そしてジャケットに映るAl Jarreaouの笑顔も、今日はやっぱり丸かった。






●Al Jarreauについて- こちらを参照下さい。

エンターテイメントgoo

Universal Jazz

Blue Noteの紹介文






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