部屋番号は335

 ジャズと言うと、中には、古くさい音楽だと思ってる人がいる。まあ、確かに、長い間愛されてきた音楽だから、古いものはあるかもしれない。でも、くさいものは、ないと思うんだけどな。よくは、分からないけどね。


 僕は今、ちょっとだけ古くって、でも、全然くさくない「Room335」と言う曲にはまっています。これはジャズなのか、と言われると困ってしまうのだけれど。何となく文頭に「ジャズ」と書きたかっただけなんだよね。ごめん。


 今僕は「Room335」を、ちょっと古い、と書いたけど、今聴いても全然違和感は無い洒落た曲です。バーやライブハウスはもちろん、近所のスーパーマーケットにかかっていてもおかしくありません。実際、昨日買い物に行った板橋区のスーパー「ライフ」ではBGMにかかっていたよ。それが、どうお洒落なのかは説明できないけど。でも、スーパーのBGMになる曲っていうのは、人の邪魔をしない曲、耳障りじゃない曲、って事だ。人間でも何でも、目障りじゃない、耳障りじゃないものには、それだけでちょっとした大人の余裕と、ちょっとしたお洒落テイストを感じてしまう。何だお洒落テイストって?


  大人を気取りたいわけじゃない。29歳にもなっていて、大人を気取る必要なんて、全くない。むしろ、青臭い曲を聴いて、若者を気取りたい年頃だ。だけど、青い曲も臭い曲も、聴いたことがない。だから、若者を気取ることも出来ないわけで、僕は仕方なく「Room335」で年相応(よりちょっと若い)気分を感じている。


 この曲は、ラリー・カールトンさんという、今や70歳を超えたおじいちゃんが25年程前に作曲、演奏をしたんだけど、彼の弾くセミアコースティックギターの音色がとても心地良い。セミはあんなにも耳障りなのに、セミアコになると、途端に丸い音色になる。不思議なことだ。


 「Room335」では、彼のギターが、ボーカルだ。言ってる意味が良く分からない?でも、これは真実だ。因みに、フランスの歴史書はみんな冒頭に「これは真実だ」と書いてあるらしい。だからと言って、信用できるとは限らない。でも、僕が言ってるのは真実だ。信じて。本当に、ギターが歌っているのだ。


 でも、この曲には歌詞がない。何故なら、ギターは発音が出来ないから。でも、ギターが歌ってるのは間違いない。この歌声を是非聴いて欲しい。楽器だって歌うことが出来るのだ。ギターの歌声が聞こえる人は、今度はドラムの歌声にも耳を傾けて欲しい。この曲は、ジェフ・ポーカロさん(故人)と言う、これまたドラム界ではトンデモナイ人が叩いているのだけれど、ハイハットとスネアとバスドラムの音だけに耳を集中すると、この曲の新しい魅力が見えてくる。もちろん、キーボードソロや、ベースラインに集中して貰っても構わない。どれもみんな歌っていて、魅力的だ。それぞれが歌うだけじゃない。お互いが相手の歌声に反応し、その場その場でフレーズをどんどん変化させていく楽しさがある(インプロビゼーションって言うんだっけ?)。ドラムとベースがアイコンタクトをし、キーボードソロの伸びに合わせてフレーズを変え、それにまたキーボードがアドリブで返答を返す…打ち込みでは経験できない世界が、ここにはある。


 やっぱり、相手の感じ方に合わせて、どういう戯れをすればいいのか、その瞬間その瞬間で考え、絶妙のタッチを導き出せるようにならないとね。「Room335」を聴いてると、ちょっと上手なエッチを体験した気分にもなる。それもまた、この曲のいいところだ。


 僕も今、上手なエッチに参加したくって、ベースを練習してます。

 エッチは何も裸の男女の交ひだけじゃないよね。楽器を操って、誰かと一緒に演奏することも、充分エッチな事だと思う。快感の度合いも、決して負けてないと思うよ。楽器がへたくそな僕でも、こんなに気持ち良いんだから、巧い人は、とっても気持ちが良いはずだ。


 僕も早く、みんなのプレイに、参加できるようになりたいなぁ。


 もちろん初体験の場所は「Room335」でね。

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