映像制作屋

「山本輔の作る映像は真面目で面白くないが、この忙しい男に映像制作など頼む方が罪深いのだ」と彼が話して以来、どうしたことか逆に映像制作の依頼が増えた。

この間もある商品の宣伝映像を作ってくれというので深く考えずに引き受け、送られてきた元素材を見たらなんと確認する素材だけで10時間分ある。しかも締め切りまでには10日ほどしかない。編集することが好きだからこそ家事抛り出し、採算度外視して作りはじめたが、わが愛する妻が「いったいそんなもの作って制作料いくらになるのですか」と訊くから教えてやったら、かんかんになって怒っていた。しかし映像制作屋はこれが日常なのだ。妻よお前は映像制作屋の妻にはなれない。

(筒井康隆のパロディです。本気にせぬ様)

そして三崎から城ヶ崎へドライブ。

なんだか連日「世界に感謝仲間に感謝みんなありがとう」と一昔前のジャパニーズヒップホップなことばかり続いているが、まあそうなんだから仕方ない。年を取ってしまったということにしておこう。20年くらい前は髪の毛を立てたりバンダナ巻いたりして「反体制!Fuck!蝋人形にしてやる!」とPunkなことばかりしてたのに。してません。髪の毛が自立しません。

10年前を、そして独り立ちの第一歩目を。その間も今もずっと、最大限に応援してくれる方々がいる。
昨日今日と、それを改めて知る機会を持ちました。

昨日は恩人からの暖かく長いメールにて。
どんな思いで、どんな気持ちで支えてくれているのか。
普段ストイックな方であるからこそ、その一言一言が重く響くのです。
人を応援する、応援されるとは、ものすごいことなのだ。
そして僕は思いに応え、自分で立っていかなければならないのです。
今日は友人と男二人、ふらっと誘って朝から回ったドライブで。
三崎を回り、マグロを食べて城ヶ島へ。
平日に1日付き合ってくれることの重要性がどんなに大きいことか。
大の大人が酒も入れずに1日仕事抜きで遊ぶって、なかなか無いのですよ。芭蕉と曽良のように。弥次喜多のように。
自分で立ってる者同士で無いと生まれないバランスもあるのです。

そう、自立。
ちなみに僕の好きなジャパニーズヒップホップは、常に研究 常に練習 知恵を結集し君をレスキューしてます。
感謝とともに、自立することが前提にあるのです。

前出の通り、僕にとって立たないのは髪の毛だけです。
だまれ。それ以上は語るな。公共の場だ。

波濤が響いて鳶が舞って、夕焼けがあまりに朱く綺麗で。
それが全てを語るのです。

14938148_1528239463859236_5975081369116846899_n 14915535_1528225100527339_7472665830314527354_n 14937255_1528227143860468_1742751699806077345_n 14980650_1528225097194006_6445773324415014158_n

年を重ねて

さあ、毎年恒例、日の出撮影をしてまいりました。
42年間、504ヶ月も、15340日も、37万時間も生きちゃったじゃないか。
どうなっちゃってんだよ。人生頑張ってんだよ。
どうなるも何も、みんなのおかげなのよね。ありがとう。

「42歳の1年間」の結論
やっぱり生きること自体が最高のエンターテイメントで、
毎日感動しっぱなし。

そう、今年1年、そして独立してからの2年間(もう2年か)、加速度的に変わったことがあるのです。
それは「日々の感動」。

そう、日々何かあるんですよ。嬉しいんですよ。「あなたを一晩ほっといたら10時間くらい語ることを溜め込んでくる」と言われるくらい、うちのかみさんに「ママ聞いて聞いて」と24時間語り続ける幼児の様に、世の中には嬉しいことが溢れてるんですよ。本を読んでも、映画を見ても、服を着ても、それこそ花に落ちる雫を見ても、愛おしさが溢れる世の中に、なんか、こう、嬉しくなるんです。
くさい話したかないけどさ、世の中が変わった訳じゃないと思う。単純に、僕のスイッチが何か変わったんだと思う。錆び付いてた感受性を磨かせてもらったというのか。
感受性なんて乳歯の様なもので、若さの特権で、大人に必要なものなのかわからない。
それが金になるのか、世の価値になるのかなんてわからないけど、一応僕はこれで食べてるし、多分これで生きていくしか、僕にはもう道がないのだ。そしてそれは「10代の頃の僕が憧れていた自分」そのものなんだ。
自分としては20代で研ぎ澄まして30前に亡くなって伝説になりたいと思う中二病だったけど。20年くらい遅れてるねごめん。ここまできたら老衰まで逞しく生きる所存でございます。ジミヘンよりミックジャガーを目指します。
それに伴って、顔も変わった。確実に変わった。毛も生えた。
2年前、会社を退職する前から、退職直前、独立1、2年目と、どれだけ顔が変わってきたか。正直Iphoneに残っていた画像を見るだけで戦慄した。全く別人やないか。そうとう病んどったんやな。うん、僕はこの2年間で、復活したぞ。(画像参照)

そう、先日、とても嬉しかったこと。
自宅に戻る時、二軒隣のご家族、お母さんと息子くん(4歳くらい)とすれ違ったんですね。
少し、細い道で、僕が道を譲る形になったのだけど、その時に、その男の子がすれ違いざま
「やさしいひと」
と、僕の顔を見て、つぶやいてくれたんですよ。

その瞬間、ね、僕は「報われた」と感じられたんです。
その子から見て僕にお世辞を使う必要もなければ、声をかける必要もないんですよ。ただ、僕の顔を見て思ったことを言ってくれただけ、なんだと思うのだけど、それがこの評価なのだったら、もう何も恐れることはないじゃない。
もう、僕の42歳はこれで十分、世に認めてもらったし、間違ったことをしてこなかったと顔に書いてあるのかな、と。

先日は友人の娘っこたち(小学生と幼稚園)に可愛がっていただいた(=ハゲネタでいじめられた)し、こういう形でコミュニケーションを取らせてもらえるのは、本当に嬉しい限りだな、と。ちなみにその日は僕にプレゼントする髪の毛を忘れてしまったそうで、次回も必ずもらう約束をしています。ののなな、次回期待してるからな。
上司が保身のために僕を追い払ったりプライドを捻じ曲げて僕にすり寄ってきたり、そんな矮小なコミュニケーションと違うもの。査定されて報酬が上がったりするものじゃない。だけど、僕にとってはこれ以上の「人間の査定」最高評価はなかったのです。

こんなに大事なことは、そうはないよ。
多分43歳。うー。多分、多分、多分43歳。

14925330_1524748144208368_3693811285622439899_n 15003462_1524737760876073_8301960634084653617_o-1