インターネットの<次>に来るもの

IMG_5823

新卒で入社した会社は、それこそ本当に未来志向で、今でいうベンチャー気質に溢れていた。まだどのようにインターネットとPCを使えば良いかわからない中で、NYの事務所とリアルタイムのやり取りをして、リュミエール兄弟時代からの映画アーカイブデータを構築したり、世界中の野生生物映像をストックしたり、日々「これまでにできなかったこと」を日々行っていた。もちろん、僕は新人であり、それが本当に「革命的」なことだとは気付かず、「大人ってこうなんだ」という無垢の状態で受け入れていたのだけれど。当時数千万円した(そして容量が2GBしかなかった)映像編集システムを好き放題いじらせてもらったなぁ。毎日がスクラップ&ビルドであり、プロトタイプを思いつくことや勝手に何か作り始めることにも寛容で、速度と好奇心と現存否定が常に求められていた。そして、その場所で社長に紹介された「このポリシーをもつ素晴らしい会社」に、僕は2005年から8年間務める縁をもらい、今の僕の仕事スタイルにつながっている。

この本の原題は「Inevitable」。インターネットの次なのかどうなのかは分からないけど、あの当時と同じように(否、あの時から、そしてその前からずっと続いているのだ)、日々が変わっている。あの頃の革命は「情報の接続」〜「データアーカイブ」にポイントが置かれていた。それは2005年ごろから更に変化し「プロセスの記録化」「情報の取捨・検索性」を経て、今はその潮流が「プロセスそのもの」になってきた、と思う。人の本質と各人の物語はそのまま膨大な記録として残され、何を作ったのかという「プロダクト」よりも作り上げる「プロセス」が人に感動を与える(今までもそうだったけどね)。
そう、感動、なのだと思う。これまで、マズローではないけれど、身元の安全や快適を求めて発展してきた技術は、感動とアクセスできるように変化してきたのだ。そして、それはこれまでの大衆化に必要だったテンプレート化という手法ではなく、全くのオリジナルとして存在・表徴できるようになってきたのだ。
というのが僕の見立てと感想。

まあ、生きてきて、よかったと思うし、これからどんどん生き易い時代になっていくと確信している。少なくとも僕は。夢と希望にあふれる世界だと、信じてきて良かったし、それを後押ししてくれる書籍だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください