仕事をする上で、ちゃんとすること。
どんなに小さな案件でも、先に金額を明示して、仕様内容を明確にして、書面を交わして(今はデータでも、メールの一文でも良いのだけど)、そこから準備を始めること。
自分が受注側でも、発注側でもね。
制作の仕事自体は、どうしたってトラブルの連続だ。トラブルがない現場なんてありえない。それゆえに、目の前をなんとかすることに精一杯で、そんなに契約云々四角四面になんてできないけれど、スタートとエンドはちゃんとしないといけない。
「この仕様で、この金額で今日からお願いするよ!」の合図
「これで終わったよ!検修完了!」の合図
ここを曖昧にすることで、実はリスクを背負うのは発注側なんだ。
僕は契約が曖昧な案件は、必ず直前に仕様と金額を確認する。
その上で、受けられない価格や仕様(責任範囲)を提示されたら「現場前日でも引き上げる」「納品後でも泣き寝入りしない」。泣かれても困る。困るけど引き上げる。
発注書も何もなければ、契約は不成立だからだ。
さらには「そのクライアントが先々仕掛かっているものからも手を引く」。ビジネス上のリスクがあるからだ。
それでダメージを受ける売上減をカバーできるように「フト客を作らない」いつも多数他社の仕事を受ける、というポリシーでやって来ています。
ただ、発注側も、仕様を描くのが怖いんだ。それはわかってる。
仕様って何?「後はいい感じで。でもいい感じかどうかの判断はこっちで行います」って書いていいかな(=下請代金支払遅延等防止法にてこの様な明確でない仕様は却下されます。法的にどうこうなんて言いたかないが、グダグダになるよりはマシだ)。
仕様決定後に仕様が変わったらどうしよう(追加費用払うのやだから決めたくない)
納品報告後に修正来たらどうしよう(追加費用払うのやだから決めたくない)
…それこそハンドリング不足の問題じゃないか。
そこは頑張ってもらいたいし、赤が出たらそれを勉強代と考えて欲しい。
そこの仕様策定、修正交渉で出てくるロスを受注側に押し付けられても困るんだ。
それを押し付けてこない、矜持あるクライアントには、僕は逆に「こっちでなんとかするよ。フォローするよ。任せて!」とカバーする心意気になります。
そして、できることなら、この様な心意気で仕事したいのです。その気持ちと、曖昧な仕様発注は、意味が異なるのです。同時に、その気持ちを利用しようとする素振りが見えたらとても悲しくなります。
それゆえに、発注側にも、ちゃんと制作をわかってる、制作に愛がある人が立たなければならないんだ。
そういう人材がいないのならば、クライアント側は徹底的に映像現場を学ぶか、ディレクションフィーとしてハイコストを払うかしなければならない。
そこを飲み込むこと「金銭の部分は任せとけ。制作に集中してくれ」と差配するのが「間に入るもの」の仕事、だったはずじゃないかな。
これをちゃんとやってくれるクライアントには、僕はしっかりとついていきます。結局、愛と礼儀と敬意なんだ。
仕事というものは、とてもシンプルな信頼関係でできているものです。
僕だって、物作り屋。人間です。
心地よい人と、心地よい約束で、心地よく、良いものを作ることに集中したいです。
(クライアントも読める環境でこんなことを書くなんて!…と思われる方もいるかも知れません。でも、これを読んでる方は全て、この僕のポリシーを理解してくださってるクライアントさんだと思ってますし、そうじゃない方が万一いたとしても、自然と遠ざかるものと思っています。それが、お互いにとって幸せなのです。)