一つ、人生の中でも痛恨の失敗がある。
お前いつも失敗ばかりだろうと言うな。
大学4年時、僕は卒業式に祖父を招く予定でいた。
祖父は僕の母校になんらか(よく分からないけど)憧憬があるようで、父も受験していたし、僕はたまたまこの大学を入学することになった。
祖父はもちろんのこと、両親も皆喜んでくれて、祖父はその日のために体調も整えて用意をしてくれていた。
で、蓋を開けたら…留年してました。
僕としても青天の霹靂。フランス語が不可になり、わずか二単位たらずの留年。
そりゃもうがっかりされましたよ。ええ。
とりあえず僕は翌年卒業したものの、流石に祖父の体力事情も変わっていて…。
その後、祖父はもう他界してしまって、この願いは叶わないものとなりました。
で、話は変わって。
それから25年、4半世紀の時を超えて。
いいか、話がややこしいから落ち着いて聞け。
ポルナレフのようなことを言うからな。
その祖父の息子、すなわち僕の父が、僕と同じ早稲田大学を本日卒業して、僕が保護者として父の卒業式に参加しました。
御年71歳。いったい何をやっているのだ。
66歳で何を思い立ったか早稲田に入学し、6年かけて卒業しました。
データサイエンス、教育工学…好奇心赴くままに学び続けておりました。
僕は僕で父が大学4年の時に生まれており、父の大学卒業式に参加するのはこれで2回目。49年越しで2回経験しております。
いやはや、僕は本当に追いつけない。この好奇心とバイタリティ。まだまだ僕も頑張らないといけない。
いや、もう、なんというか、子供がいない僕が保護者として卒業式に参加するなんて。
しかも僕の後輩が父とか、全く意味が分からない。
休憩所に並んでたら、どう見ても卒業生の父と祖父にしか見えなかったぞ。
父を見ていて思います。大学なんて、学問なんて、
就職のためだったり、お金のためだったり、メリットのためにやるものじゃないのです。
本当に父はただ純粋に好奇心のためだけに、データサイエンスと教育工学を学んでおりました。
仕事に活かす…というよりはそろそろ引退されなさい。僕が「疲れた」と言えないではないか。