偏狭音楽情報 vol.3

 そういやね、今日、ちょっと仕事の合間に、CD屋に寄ったんですよ。


 ここ2,3年くらいかな。ほとんどCD買ってないんだよね。以前はがしがしお金つぎ込んでたんだけど、最近は、ほら、ねえ、PCで…いろいろ出来ちゃうしさ。おいらの耳はそれほど良くないから、MP3の音質とPCのスピーカでも十分楽しめちゃうわけで。音圧が欲しくなればライブハウスに行けば良いや、って感じてるしね。ああそうそう、先日また東野純直のライブ行ったんだよね。この事も書留めておかないとな。


 で、とんとご無沙汰になってるCD屋なんですが、やっぱりそこは音楽の巣窟。魅惑の宮殿。掘り出し物が見つかる見つかる。


 いやー、やっぱりネットや友人の情報だけじゃなくってさ、自分でCD屋に足運ばないと駄目だなー、と感じました。ジャケット見て音聞いて、てのを繰り返して良いものを見つける、て言う作業を惜しんだら良いものは見つからないんだなー、なんて思います。労を惜しめばそれだけ出会いも少なくなる、と。


 いや、それにしても最近CD屋に寄ってなかったからか、「これは良いわ」なんて思えるものが見つかる見つかる。お金有ったら10枚近く買っちゃうところだったぞ。財布に紐がついてたため結局1枚も買えなかったんだけど。ああジャケ買いしていた独身時代が懐かしい。


 で、今回見つけた中でも特にお奨めなミュージシャン二人を紹介。誰か買え。んで貸して。


 ・日野賢二


 日野皓正の息子だけあって、「幼い頃から音楽と戯れてます」と言う感触が伝わってきます。うむ、なんと言うか身体の髄にミュージシャンの血が流れている感じ。ぽっと出じゃない、熟練の腕前を見せてくれるベーシストです。新アルバムの一曲目「Pop’s」聴いた瞬間たまげたわ。「ジャコパスからマーカスにつらなるベース・スピリットを受け継ぐ」なんて宣伝文句に書くだけの事はあるなぁ。最初見たとき、「んな大口叩いちゃって良いの?」なんて思ったけれど、この文句に負けない実力あるよ。更にはこのCD、ドラムのプージー・ベルがProduceしてる事もあって、ドラムとベースの音のしっかりしてる事と言ったら!低音マニア、ドラム/ベースセクションに音楽の味わいを感じる人は必聴です。ちゃんと飯を食っていけるミュージシャンです。うーむ、はなわと並んで日本のベース界を背負って立ってくれ。あれ?


 
 んで、もう一人


 ・松永貴志


 「現役高校生のジャズピアニスト(17歳)」の文句で現在売りだし中です。ジャズピアニストに年齢は全く関係なく(ジャズで無くとも、ピアニストで無くても、そうなんだけどね。)、売り文句に惑わされずに純粋にこのピアニストの音を聴くに、これまた相当な実力者だと思いました。X-10お奨め印です。彼の音色、音粒がすごく立ってて好きなんだよね。チック・コリアに似た、透明感のある音色です。

 「宿題」「メロン」と訳の判らないタイトルをつけてきますが、タイトルとは裏腹に、ピアノトリオの美味しい所を存分に聴かせてくれます。ドラマーが誰だか分からないけど、とてもタイトで巧いです。ジャズはまず徹底的にタイトなリズムから生まれる、んだよな、やっぱり(一人納得)。


 一生涯に1日で良いから、こういうピアノが弾けるようになりたいな。ベースとドラムと絡み合って、一体どういう世界が見えるのか、インタープレイを体験してみたいと心底思います。



 以上二人のミュージシャン。両方とも、凄く良いですよ。R&B,ファンク好きな方は日野賢二を、Jazz好きな方は松永貴志を、それぞれ聴いてみてくださいね。


 そろそろお時間になってまいりました、「偏狭音楽情報」。お相手は、X-10でした。それでは!






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 因みにこのタイトル「偏狭音楽情報」は、Reelin’ in the yearsの中の(自称)名物コーナーなんだよ。Vol.2を書いたのはねぇ…2000年2月だった気が。

眠り

 春眠暁を覚えずとはよく言ったものです。


 何と言うか、寝ても寝ても寝足りないんですよ。そんなに疲れてるわけでもないのに。疲れるほど仕事してないし。

 いつもなら布団に入って3秒(かみさん計算)で熟睡に落ちるのに、最近は1秒半で寝に落ちます。それも普段はもちろん、8時間くらい眠った後でもコテンと熟睡できます。コテン。眠るために起きてます。食べてトイレ行くだけが活動です。もうちょっとでのび太に挑戦できそうです。


 何を思ったのかかみさんもライバル意識を燃やして寝てます。隣で誰かが寝てるのを見ると僕も寝てしまいます。かみさんが起きても、僕が寝てるのを見ると眠くなるようです。逆もまた然りです。この繰り返しで土日をつぶしました。睡眠総勢約40時間。二人合わせて80時間。全くお金を使いません。素晴らしき節約生活。ケンカも出来ません。素晴らしき夫婦仲。



 起きてる時間がすれ違ってて、全く会話してません。

Watermelon Woman

 世界は皐月。そろそろ夏が近づいてきました。


 夏と言えばたわわに実る果実の季節です。そう、女性の胸で大きく揺れる奇跡の果実。乳房。おっぱい。バスト。ぷるんぷるん。の、季節です。


 やっぱり雄たるもの、女性の神秘に恋焦がれながら夏のエネルギーを蓄えるべきでしょう。そうでしょう。そうでしょう。そうと言え。

 ああいやいや、僕は別におっぱい星人じゃないですよ。豊かなのも小粒なのもみんな食べます。好き嫌いありません。だから全部僕に(中略)


 前置きはさておき、5月ともなると街角には眩しいほどの光景が目に入ります。肌着一枚を身に着けた女性の姿。イヤでも目に入る豊満な肢体。この世のものと思えない曲線。はちきれんばかりの乳房。前を通り過ぎるご婦人達の人格を認める前に、その芸術美に目を奪われる毎日。正直溜まりません。いや溜まります。どっちもです。


 見るな変態。という方が無理です。どうしたって見たくなります。芸術品を見るなと言っても無理な話です。おっぱいはかくも素晴らしき芸術品。


 ああそれなのにそれなのに、通り過ぎるご婦人の胸をちらと見ただけで、汚らわしいモノを見るような目つきで睨み返されます。いつもそうです。僕だけでなく、僕の前を歩いているサラリーマンも、僕の隣に居る学生も、みんな女性の胸に目を奪われては侮蔑の目を向けられています。ああかわいそう。見るなというなら隠してください。手の届きそうなところに果実があって、かぶりつく事はおろか見ることも許されないなんて、蛇の生殺しもいいところです。


 おっぱい天国、幸せな夏ですが、一々蔑まれるのは正直辛いものがあります。ええ、気が弱いもので。


 と言うわけで、かみさんに相談してみました。「ちょいとおまえさん、世界の至宝、女性のおっぱいを心ゆくまで堪能するにはどうすればいいのか?」


 かみさん曰く、「見るなとは言わない。大いに見て良い。もっと見れ。」とのたまわれました。


 「だってさ。見るなって言うほうが無理じゃない。女の子だって全く隠したいわけじゃないんだよ。」

「ただ、見方の問題でね。ヤラシイ目つきで見られるのはやっぱりちょっとカンベンなのよ。」

「ぐへへ、いい乳してんな。て感じで品定めするような、舌なめずりするような目つきで見る男性が居るのがイヤなのよ。要はおっぱいを軽んじて見てもらいたくないのよね。」

「特に、大きいおっぱいの子はね、おっぱいに視線レーダーが付いていてどこから見られているか分かるものなのよ。」

「だからね、おっぱいを見るときは、”おお何と素晴らしいおっぱいなのだ”と、敬意を持って称えるような眼で見ないといけないのよ。」



 全く付け入る隙の無い理論で熱く語られてしまいました。なるほどわかりましたわかりました。これからその様に女性のおっぱいを眺めるようにします。


 と言うわけで、宇都宮から帰る途中、如何に女性のおっぱいを見れば良いのか、おっぱいへの敬意溢れる視線を教育されてしまいました。


 前を行く女性の胸を尊敬のまなざしで見つめる男。その視線をチェックする隣の女。





 変態夫婦です。




 

宇都宮

 みなさんゴールデンウィークは如何なされましたか?


 僕はちょっと宇都宮まで1泊旅行に出かけてきました。


 なんで宇都宮?と思われるかもしれませんが、実は好きなんですよ、宇都宮。何やかやと事あるごとに行ってるんです。ココは仕事とプライベート両方で愛着のある土地でね。また、餃子は大好物なもんで。時々宇都宮まで行って食べたくなるのよ。


 まあそれでも、今回来たのが5年ぶり、友人の呑氏と旅行に来て以来でした。<どこが事あるごとに来ているのだろうか?いや、その、何だ。この5年間のうちには、旅行なんてとんでもない位の極貧状態を経験してたものでな(言い訳)。


 丁度10年前、大学一年の頃にも、こますけ達と宇都宮に遊びにきたことがあるなぁ。なんて思い出したりしてました。あの時はみんなで軽トラックに乗って宇都宮大学に忍び込み、校舎の屋上でしし座流星群を眺めたりしてたっけなぁ。あぁノスタル爺。違うわい。


 こますけを初めとした友人(6人くらい)とは高校3年のときに知り合い、それぞれ群馬、栃木、新潟、静岡、富山出身と言うことで中々会えないグループだったんですね。大学も結局全国に散らばって、この時以降全員とは会えていません。一番良く会ってたこますけも、ドイツに行ったため更に会えなくなりましたが。そんなこともあり、10年前は宇都宮駅の前で集合記念に写真を取ったんです。青春ちっくな10代の思い出です。で、今回、かみさんにその旨を話すと「じゃあ、同じところで取ろうよ。」とのたまわれました。なんとなく青春の残像、てな感じで、いいかなと思ったんですが、10年前の写真と髪の毛を比較されるのがイヤなので、言い訳をつけてかみさんを説得しました。髪の毛には残像が無いもので。



 今回宇都宮に来た目的は、「ノスタルジイより食い気」と言うことで餃子食い漁りです。夫婦で何十個食べたかな。


 ええ、餃子好きなんですよ。バニラアイスと餃子とグラタンは僕の大好物です。纏めて食べたくは無いけどね。

 そういや、好きな食べ物の話って、あまりしたことがないなぁ。僕がバニラアイスや餃子が好きって事知らない友人もたくさん居るんじゃないかな。これを機会に覚えて置いてください。で、僕に下さい。いつでも、お待ちしています。あと好物はジンギスカンとカレーと眼鏡っ娘と後ええと…



 今回のこの旅行の顛末もちょこちょこ書いていきますね<といって書いてない事多数あります。ええごめんなさい。ちゃんと書くってば。


 結婚して3年、実はこれが初めてのちゃんとした夫婦旅行、なんだよね。新婚旅行にも行ってないし。かみさんには迷惑かけてます。こんなへなちょこへらへら偽ぼっちゃん亭主を持ったために、大変な思いをさせてるよなぁ。つうか正直、よく愛想尽かさずについてきてるよ。

 まぁ、新婚当初の極貧状態、給料が月に1円も入らず、家賃どころか缶コーヒーすら買う余裕が無い生活(実話)からは脱却したって事だよね。今回の旅行はその象徴だな。


 後は上昇一途。気合入れて頑張ります。


 宇都宮の餃子を全部食べきるまでは。


 

お仕事

 今日はクライアントとの打ち合わせで、帰ってきたのが朝の3時。


 6時間に渉る打ち合わせは初めてだ。(夜8時から打ち合わせする方もする方だ。)そもそも、前段階がずれているところから、平行線のままお話が進んでは、そりゃ何時間かかっても終わるわけが無い。

片や「このCDを取得する人は全員閲覧できる環境を提示、サポートするところまでが御社の品質責任だ。」片や「このCDの推奨スペックを下回る環境での閲覧についてはユーザーの自己責任だ。」いわゆる営業開始時点での意思のすれ違い。旧式PCで最新ストリーミング映像を見た時に起きる不具合についての責任の譲り合い。ああもう。僕の4時間を返せ。


 それにしてもパソコン/コンピュータと言う奴は罪作りだな。一台一台が別々に進化(Upgrade)するため、全てのハードで共通に使うことの出来るソフト、てのが無いんだもんな。そして、使う人の中には、ビデオと同じで、「同じハードに同じソフトを入れれば同じ映像が映るはず。そうでなければ欠陥品。」と言う意識が深く根付いているわけで。


 作る立場の僕としては、当然前者の立場でクライアントに説明をする。でも、そういう僕も、根底はハイブリッドな機械音痴。後者のような意識も分かるだけに、辛い打ち合わせだった・・・。

イジめたい

 いやね、僕、あんまり、と言うか全くテレビ見ないんですけどね。

 昨日久々にテレビを見ていたら、竹内裕子が出てたんですよ。

 いや、確かに、美人です。好きです。でも僕が言いたいのはそんなことじゃなくて。


 ええと、なんて番組だったっけ。よく分かりませんが、チームに分かれて食べ物を食べあって、嫌いなモノを当てるとか何とか、そんな企画だったと思います。


 で、何ですが。



 どうしてイジメられてる女の子を見るとこんなに気持ちがいいのでしょうか。



 なんつうか、こう「きゅん」としませんか?ねえ、しませんか。あ、そう、しませんか。

 竹内裕子が嫌いなもの食べさせられて、涙目になってるのを見てると、何だか小学生に戻って「気になる女の子にちょっかいをかける悪ガキ」の気持ちになっちゃいました。ああもう、たまらない。好いわぁ。僕も竹内裕子イジメたい。あんな事やこんな事したい。むらむら。


 僕変な趣味してるでしょうか。


 でもねえ、今でもそうなのよ。気に入った女の子にはすぐちょっかいかけてイジメるの。大学の後輩もよくイジメました。

 んでもって、その後でちょっと優しい仕草見せるのね。いつもそうやって女の子と仲良くなるきっかけを作るんです。真正面から仲良くなるのは恥ずかしくって赤面しちゃって出来ないもので。何か?



 と言う訳でイジメるのは好意の表れなんですよ。分かってください。分かってくださいってば。ねえ、そこの会社の同僚!Tさん!



 だからすぐ泣きながら上司に稟議書と辞表持っていくなってば!



 僕のクビは性癖と仕事の間で揺れ動いてます。つまり僕がイジメられてます。全然むらむらしません。

 僕は現在、自宅から会社まで電車で片道約1時間(市川~板橋)かかるため、その間をどのように過ごすかが僕の人生の一大プランとなっています。なんたって、一週間で往復計10時間を電車内で過ごしてるわけだからね。一ヶ月だと40時間!10秒連射ができれば、864,000回転で(略)(略)(略)(略)しおれけるなり我が金玉。


 で、最近、通勤中はパーネルホールの作品を愛読してます。


 Links to Parnell Hall


お人よしで気弱な探偵・スタンリー・ヘイスティングスが活躍しないで問題を解決する一連の推理小説群を書いてる人です。

あんまりねぇ、推理小説って読まないんだわ。頭悪くて、途中で何がどうなってるのか分らなくなるのよ。ページめくったら「あら、こいつ死んでたんだっけ?」とか、「何時の間にアリバイがあったの?」てな感じで。読んでて取り残された気分になるんです。なんつうか、一言一句神経を張り巡らせてきちんと読んでいかないといけない小説ってのがついていけないんです。そんなに注意力無いんです。勘弁してください許して下さい。延々と探偵の独白なんかが続いたりすると眠くなるんです。「ページを4,5ページうっかり飛ばしても伝わる分る推理小説」なんてないですかな。そもそも飛ばし読みする奴が悪い。

江戸川乱歩は結構好きだったけどね。あれは推理小説じゃないか。


まあ、そんな中で、ホールの作品は区切りがはっきりしてて読み易いです。推理云々でなくスタンリーのおトボケぶりがいい感じ。つうか推理はどうでも良い。推理や理論構築ではなく、単に読み物として面白い。推理小説というか、落語的な楽しさだな。主人公がトボケテルから、読んでるこっちがトボケてても全然気にならない。やっぱねぇ、息抜きで小説読んでるんだから、あまり気合入れないで読みたいよね。本を読むときぐらい、マグロにさせろ。<誰に言ってる?



 ともあれ、パーネルホール、良いですよ。是非読めれ。



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 競馬好きの愛読書・ディックフランシスも読んでみたけど、あれは訳者が悪いのかなぁ、思ったより良さが伝わってこなかったぞ。多分原文ではもっと面白いんだろうなぁという雰囲気はあるんだけど、巧く伝わってないのが読んでてもどかしい。「ああここはとっても力入って面白い文章なんだろうなぁ」と言う雰囲気だけ分って、実際に伝わってこないのがすんごいもどかしい。


 何だかんだ言っても、通勤時間って読書するのが一番落ち着くよね。

しわしわ

 最近、いろいろと年を感じることがありまして。


 風呂に入ってると思うわけですよ。玉の伸び具合とか。うん、そうそう、その玉です。金玉です。読み終わった最後に「なんだ、そっちの玉のことだったのかー。」みたいな引っ掛けはありません。金玉です。睾丸です。陰嚢です。

季節は春。麗らかな陽気に誘われて、暖かくなる良い季節。寒い冬の間はしゅわしゅわと縮こまっていた玉がですね、だれんと伸びてきてしまうわけなのですよ。え、何か変な話してますか?僕は至って真面目ですが。


 その伸び具合がですね、以前までならまだ、色艶の良いというか、しなやかさがあるというか、その、伸び方にも元気があったわけですよ。例えて言うなら、バレエダンサーが一瞬緊張を抜いたしなやかさの様な。青々と茂った樹木の枝がしなる様な。


 それがですね。昨日お風呂に入ったらですね。その昔銭湯で見たような、おじいちゃんの股座に付いているような、哀れにしおれた元気の無い睾丸が鏡に映ってるわけですよ。怖いですね恐ろしいですね。曰く干し柿。曰くスーパーのビニール袋。哀れなり我が金玉。岩清水の様にしとしとと精を溜め込むなり我が陰嚢。




 蒼き夜に 桜満つるも 我が陰嚢 心無くとも しおれけるかな  
                   (読人:X-10)


 見た目では全然違ってないのでしょうがが、それでもやっぱり元気なく感じます。



 年を取るとはこういう事なのでしょうか。




 書いてることが訳分かりませんね。


 春になるとはこういうことなのでしょうか。(僕の頭が)

バンド

 突然ですが、バンドを遣り始めました。気持ちだけは夢一杯の青春29歳です。

だれかこの夢を現金に還元してくれ。安くしておくから。


 かみさん「はいこれ?」

 X-10「何これ?」

 かみさん「東野純直の楽譜。音取ったの。」

 X-10「で?」

 かみさん「ベース弾け。私ピアノ弾いて歌うから。」


 と言う訳でかみさんとの二人バンドです。かみさんは元々ピアニストですので、すらすらとピアノが弾けるのですが、僕は楽器と言う楽器が全て弾けません。まず音感がありません。リズム感もありません。指も動きません。肺活量もありません。出来る事と言えば電気グルーヴのピエール瀧やロマンポルシェの掟ポルシェの様に後ろで踊ったりアジったりする事ぐらいです。東野純直の曲に合わせて後ろでアジテーションしてやると言ったのですが、離婚調停に発展しそうになりました。


 と言う訳で、久々にベースをいじる事になりました。弾き方やポジションなど、全然覚えていません。数年振りに触ると、さすがに指が動きません。当たり前です。数年前も動いてないんだから。

 とりあえずマーカスミラーのビデオを熟視しましたので気分だけはベーシストです。タコみたいに口を尖らせて3連スラップをかますフリだけ出来る様になりました。


 でも東野純直の曲でスラップは使う場面がありません。と言うかそもそも出来ません。ツーフィンガーも出来ません。ドとレとミとファとソとラとシの音が出ません。ベースが壊れてます。おおぱっきゃらまど。


 それは半分冗談としても、本当に弦が死んでいたので、御茶ノ水に行って弦を買ってきました。


 所詮音感もリズム感もオールマイナスな僕にとって、楽器店というのは正直とっても敷居の高い場所でして。店員さんから「何かお探しでしょうか」なんて近寄られでもしたら「あああいやあのそのちょっと見てるだけでしてそのあの」と口篭もって逃げ出したくなるわけでして。例えば今回僕はベースの弦を買いに来たわけですが、弦の種類とか全然分からないわけでして。気がついたらギターの弦を買ってしまうとか、Eだけ4本買ったりとかやりそうなのです。


 とりあえず全く訳の判らない僕は4本セット380円のおまけ弦を買って来ました。表に「ベース」とも書かれてますし、多分大丈夫でしょう。セット売りで間違える事なんてあるわけがないでしょう。初心者にはこれで十分です。





 早速家に買えって弦を張り替え。ちまちま。





 ????


 弦が端っこまで届きません。







 弦が子供用でした。




 厳密には子供用ではなく、スタンダードスケールのベースにショートスケールの弦を買っちゃいました。おかげで1フレット目に糸が巻かれていると言う恐ろしいベースの完成です。1フレットを押さえると音が出ません。おおぱっきゃらまど。ぱおぱおぱぱぱ。明日改めて買ってきます。
 

Live Repo~Rolling Stones

今日は一週間前のRolling Stonesライブレポです。もう一週間も前のことなんだな。なんだか、つい昨日の事のように感じてます。今までも、いろいろライブやコンサートに行ったけど、Stonesはその中でも別格でした。技術的にはもっと上手なバンドも一杯あるんだろうけど、その存在感、手練具合、ルーズさ…全てが類を見ない味となって蓄積された、噂に違わぬ天下無双のバンドでした。やっぱ良いわぁ、Stones。ここ見てる人で、Stones聴いた事のない人居たら、是非聴いてください。もしくは僕に酒をおごってください。嫌になるほどStonesの良さを語ってあげましょう。


…それじゃ意味が無いのかな。



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えー、おほん。


突然ですが、僕はSteelyDanと言うバンドが好きです。サイト名見ればわかるって?まあ、そう言いなさんな。今日はこれが本題じゃないから、まあ聞いてくれ。で、SteelyDan、一時期はホントに三度の飯より好きでした(最近落ち着いたけど)。一番嵌ってる時期は「Aja」を聴きながら白飯3杯食べました。馬鹿って言うな。そんなのでドナルド(SteelyDanのVo)が喜ぶとは思えないんだけどさ。彼、捻くれモノだし。


 でも、それにも増して、僕の中で根付いているバンドがあります。


 取りたてて、「あ、こいつら良いよねー。」とか言う事は余り無いんですが、自分の中ではしっかり心の「別格箱」に格納してある天下無双のバンドです。


 母親がこのバンドの大ファンだったのが一番大きく影響してるんだろうね。3歳くらいの時、「Goat’s head Soup」を聴きまくって(聴かされまくって?)「ぁえんじぃ~、あぃぃ~んじぃ~」と親子で合唱してました。小学生の頃は「べガ-ズ・バンケット」を聴きながら「フー、フー」と踊ってた記憶があります。中学生の時は母親から「PremitiveCool」をプレゼントされ(ミックのソロだけど)、高校時代には「SteelWheels」「FlashPoint」を愛聴してました…丁度初来日してたんだよな。ラジオでやってた東京ドームライブをカセットにとって、繰り返し聞いてたっけ。大学時代はDeepPurpleやQueenをよく聞いて、演奏してたけど、でも「Boodoo Lounge」もコピーしたなぁ。彼らにどっぷり浸かった生活を送ってたわけじゃないんだけどね。記憶をたどってみると、「そういう事をやってたなぁ」と感じる事が多いんです。


 そう、僕は自分の意思か、周りの環境か、運命か、つかず離れずだけど、常に「The Rolling Stones」を聴き続けて育ってきました。


 正直、僕が生まれた頃、彼らは既にベテランバンドな訳です。母親の青春であり、僕にとっては過去の遺物と言い切っても良い存在だと感じてた事もあります。いやほんと、前世紀中に消えてしまうだろう、とどこかで思ってました。そりゃそうだ。自分が中高生の頃聞いてたBOOWYやBlueHartですら、皆引退してしまったと言うのに、母親の青春がリアルタイムで活動してるなんて信じられないわけです。


 でも、彼らは活動してました。まだくたばってませんでした。御年60歳。まじかよ。


 丁度3週間ほど前、珍しく母親から電話がありました。


 「あ、あんた。RollingStonesのコンサート行かない?」

 「え、そりゃ、行けるもんなら行きたいけど。」

 「私チケット取ったんだけど、行けなくなったから、あんた行ってきなさい。」


 これまた本気ですか。本気と書いてマジと読みますか。正直初めは耳を疑いました。50を越えても富山から東京ドームへ足を運ぼうとする母親も大した物だけど、そうさせようと思わせる魅力があるStonesも大した物です。それにしても、この僕がリアルタイムでRollingStonesを見る事が出来るなんて、思ってませんでした。とにかく、母親へ、ありがとう。代わりにめちゃめちゃ楽しんできました。本来なら、僕が親孝行するべき年なんだけどね。孫の顔くらい見せてやりたいんだけどさ。まあ、もうちょっと待ってえな。


 と言うわけで、行ってきましたTOKYO DOME。相方はやっぱり母親の友人、一緒にEnglishに行ってビール三昧になったMIYUKIさんです。うちはかみさんも揃ってライブ好きなのですが、今回は家でお留守番です。うちのかみさんにStonesは38年早い。トイレに入って落書きしたくなるようになれば連れていきます。


 と言うわけで、前置きが長くなりましたが、LiveReport、どうぞ。


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3月16日 午後17時半


水道橋駅改札でMIYUKIさんと待ち合わせ。外は小雨が降っていて、ちょっと肌寒い。


「あ、私、東京ドームはじめてだから、案内してよ。」


案内も何も、目の前に東京ドームはあるのだけれど、まあ、そんな事は言わない。わからない人にとっては近くにあることもわからないのだし。

改札から、大勢の人が東京ドームに向かって流れている。3人に一人は、体のどこかに例の「ベロマーク」をつけている。ジャンパーだったり、ピアスだったり、ネックレスだったり。みんながStonesをに何かの思い入れを持っているんだろうなぁ。Stonesが好きなんだろうなぁこういった見知らぬ人同志の連帯意識も、ライブの大事な要素の一つだと思う。


水道橋の陸橋を渡り、回転扉を通り抜けて、いざ東京ドームの中へ。


東京ドームはエアロスミスのコンサート以来、5年ぶりだ。その時も思ったが、広い。とにかく広い。そして、この広い空間が後一時間後には人で一杯に埋め尽くされるのだ。わくわく。


 球場の、いわゆるグラウンド、外野部分にステージが設置されている。僕らはピッチャーマウンドのちょっと右側に陣取った。て、チケットに席が書いてあるんだけどね。


 すぐ左には5メートル四方の謎の台、右側にはPA卓がセットされている。仕事でも、PAまがいの事をやっているから、どうしてもPA陣の仕事振りに目がいってしまう。ああ駄目だ駄目だ。今日は仕事じゃないんだってば。


ステージの上方には唇、ゴミ箱、下着…あまり上品とは言えないコラージュ写真が、これまた上品とは言えない巨大さ(どれくらいだろ…縦20m×横50mくらいかな)で僕らを迎えてくれている。コラージュから思い浮かぶのは乱雑、無秩序、どうでも良し、エロチック…どれもstonesらしいキーワードだ。その下にはまだ真っ暗なステージが。


とりあえず開演まで後30分。ビールを買って、がんがん飲み干す。


頭がとっても良い気分になった頃、6時半、開演時間となりました。


始まりません。


まあ、まだ客の流れは止まってないしね。どんどんお客さんが入ってきてます。このままじゃライブも始まらないよね。
まあ、時間通り始まるライブなんてね。そのまま何も無かったようにもうちょっと待とうか。

 そのまま20分。


 始まりません。


 延々とBGMのブルースが流れつづけています。でも気がつけば、お客さんはみんな入りきった様。スタンドも、グランド上も、辺り一面「ベロマーク」だらけ。


 ふと、このとき周りを見まわして思ったんだけど、今回のコンサート、年齢層がすごく広いのね。10代や20代が居るのは当たり前として、周りには30代も40代も、50代や60代とおぼしき人々も、数多く見うけられます。そりゃ、演じる人が59~63歳だから、当たり前なんだろうけどさ。でも、ドームのコンサートとしては、こりゃ異例な事だろう。出てくる熱気が、精に満ち溢れた逞しいモノと、枯れや達観の入ったクールなモノと、不思議な入り交じり方をしている。なかなか感じられない珍しい熱だぞ。10代からお年寄りまで、みんながStonesを待っている。いろんな熱気が充満してるけど、期待している事はただ一つ。


 そのまま30分。


 始まりません。


 そろそろお客さんも納まらなくなってきました。BGMの曲が終わるたびに鳴り響く拍手と歓声。少しづつ大きくなるブーイング。次のBGMが始まると溢れるため息。


 まさか、キースとミックが喧嘩して帰っちゃったんじゃないだろうな。


 さすがにステージ回数1000回を越えた熟練、天下のStonesにそんな訳は無いんだけど、それでもほんとにばっくれるんじゃないかと冷や冷やさせるのもStonesならでは。永遠の不良は人騒がせです。


 「まだ始まらないね」

 「そうねぇ、あの人があのままじゃ、まだ時間掛かるんじゃない?」

 MIYUKIさんが指を指した先には、鉄塔の上に登った、ステージを映すカメラマンの姿がありました。


 彼は横になってぐっすり寝てます。


 「ああ、あれじゃまだかかるな。」

 開始の合図が来てないんでしょう。まだまだ始まらないって事だな。

 気がついたら7時半。もう1時間近く待ってます。




 お客さんも痺れを切らしてます。怒声や罵声も聞こえてきます。それでもカメラマンは寝ています(そりゃ、彼の責任じゃないからな。)。




 その時



 カメラマンがむっくりと起き上がりました。

 沸きあがる歓声。高まる期待。なんだ、みんな彼を目印にしてたんだな。


 どん。


 一気に落ちる照明。嬌声と叫び声が入り交じって地鳴りとなる。お尻から背筋にかけて、期待と興奮がぞわわわわわと登ってくる。もう座ってられない。一気に立ちあがる。腕も上がる。うぉーっと、声もでる。叫ばずに居られない


 何時だって、僕はこの瞬間が一番好きだ。ライブが始まる直前、オープニングは何が来るのか、どんな音が出るのか、どんな演出で来るのか、周囲のお客さんの期待感と共有して、体全体が痺れる瞬間。このためにライブに来ていると言っても過言じゃない。


 流れてきたのは「Sympathy for the devil」のイントロ。


 青白くきらびやかな照明が輝く。ステージにはまだ誰も居ない。血が逆流する。興奮する。叫ぶ。


 次の瞬間


 キースだ!!


「Brown sugar」のリフを奏でて、キースがステージ上に飛び出した。目の前にキースが居る!それだけでもう、自分が信じられない空間に居る事に気づく。何度も、聴きなれたフレーズが聞こえてくる。はっと気づけば、チャーリーが、ロニーが、ダリルもいる。


最後に飛び出したのは、我らがStones、Mick Jaggar!


Mickが現れた時、観客のボルテージは一気にMAXに突入しました。この野郎、何時間待たせるんだ。お前を見たくてここに来ているのに。

金のジャケットを羽織り、うわさの巨大な唇を武器にして、ミックが僕の目の前で「Brown sugar」を歌ってる。

これが夢と言わずして何というのか。幼い頃から、話では何度も聞いて、レコード(CDじゃなくて)を聴いて、ライブ映像を見て、別世界のヒーローだったミックが目の前に居る。なんと言うのか、仏教徒にとって、毎日拝んでいるお釈迦様がいきなり現世に現れたような感覚だ(ほんとうか?)。

 信じられない。信じられない。信じられない。

 でも本当に居るのだ。


 ぶらーんしゅがー!と大口で歌っているミックが同じ空間に居る。それだけで、ひざが震えてしまった。足腰の力が抜けそうなのがわかった。


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 それにしても、恐ろしいのはミックのパフォーマンス能力だ。

 4.5万人もの人間を相手にして、ノセるも惹くも自由自在。東京ドーム端から端までのオーディエンスをいともたやすくパペット人形のように操っていく。このステージでは、最初2曲は巨大スクリーンが登場していなかった。いわば、スタンドのお客さんにはミックは豆粒のように見えていたのだ。にも関わらず、四肢を存分に活用して、全てのお客さんを魅了する。こなしたステージの回数、経験値と、生まれ持ったパフォーマンスの才能だろうか。正直、エアロのスティーブンやパープルのギランですらこの時は「Mickとは格が違う」と思ってしまった(エアロファン・パープルファンの方ごめんなさい)。ミックが政治家なら、ヒトラーにでもなれるんじゃないだろうか。とまで感じる。生のミックはそれほど、凄かった。


 60歳という年齢も、経験値と言う意味ではプラスだが、パフォーマンス的には決して良い方向には作用しないはずだ。特有のミックダンスを繰り広げ、ゆうに50Mはあるステージを端から端まで、何度となく走りまくり、衰えを微塵も見せずに観客を先導するミックは、本当に天才的なパフォーマーだ。

 余談だが、日本人のアーティストと海外のアーティストでは、パフォーマンスが根底的に違う気がする。

 日本人のアーティストは、どちらかと言うと「一緒に盛り上がろう!」と言う最初に連体ありきの共同体的なニュアンスを感じるが、ミックを初めとした海外アーティストは「何はともあれ、僕を見ろ!」という最初に断絶ありきで無理やりカリスマで引っ張る感覚がある(筆頭はフレディとジーンシモンズ)。どちらが良いと言う訳じゃないけどね。つうか本当は日本的なほうが好きなんだけど、ミックのカリスマ性を見ていると、「もうどこへでも連れてってください。」と言う敬意とも崇拝ともつかない感情に支配されてしまう。なんつうか、もう、最高。


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 おまけに、それだけ飛び跳ねて踊って観客をぐいぐい引っ張るミックに対して、後の3人の淡々とした事。特に全くステージの中央から動かないキース。ゾンビ(ああごめんなさいごめんなさい)とも思ってしまうほどの枯れ具合。一曲終わるごとに片膝ついちゃうし。

 でも、その立ち振る舞いがまたえらくかっこ良いんだなぁ。計算尽くされたパフォーマンスのミックに対して、ナチュラルボーンなキースのギタリスト振り。ほとんど演奏しなかったり、全館禁煙の東京ドームでタバコ吸ってたり(ステージ上で)、何気ない仕草が全て絵になってる。絵になる漢(おとこ)って、キースの事だろうなぁ。キースは存在自体がStonesなんだなぁ。生まれ持ったかっこ良さだよなぁ。決して巧いギタリストでも、早弾きの名手でも、何でもないんだけど、世界最高のギタリストと呼ばれる彼の味はギターを担いでから弾くまでの振る舞いと、弾き終わった後の立ち姿、これに集約されるんじゃないだろうか。ひょっとして、Stonesって、バンドではなくて、キースとミックを二大神とした宗教なんじゃないだろうか?


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 天才的なパフォーマー二人に挟まれて、それでも卑屈にならずに自由に伸び伸びとギターを演奏していたロニー。彼もどちらかと言えばナチュラルボーンなギタリストだなぁ。でも、「かっこ良さ」ではなく、「愛嬌」と言う意味で。


 今回、本当にロニーは「やんちゃ坊主」と言う感じだった。観客を煽ったり、ミックにちょっかい出したり、リサに可愛がられてたり(あれもキャラクターゆえだな)、幼いギター少年がステージ上で喜んでる、と言う感じだった(実際には彼も60近いけど)。見ていて本当にほのぼのする。ミックには徹底的にひれ伏してしまい、キースにはお尻を与えても良いくらい惚れ惚れしてしまうけれど、ロニーを見て正気を取り戻すことが出来る。いやほんと、ロニーの楽しそうな演奏を見ると気持ちが明るくなります。神々しいまでのミックとキース、彼らと人間界の掛け橋をしてくれているんだと思う(何を書いてるんだ僕は)。


 ミックとキースに挟まれて、自滅したブライアン、一人孤高の道を行ったテイラー、その後釜として入ったロニーは、とっても良いポジションにいるんじゃないかな。いいよ、彼。


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 で、チャーリー。


 色々と他のメンバーの事書いてきましたが、ごめん、僕はチャーリーが一番好きです。なんつうか、一番人間として信頼が置けそうで…。いや、ミックもキースもロニーも大好きだよ。でも、この3人とは正直ステージ以外で出会いたくないと思います。うん、いや、僕の側が彼らと対面して正気で居られない、というか人間として対峙する事が出来る自信がないんだよね。でも、チャーリーとは、敬意を持って、接する事が出来そうな気がしてます。何なんだろ。

 特に、今回のライブでは、ずっと仏頂面をしてドラムを叩いてたチャーリーが、メンバー紹介の時に「にこっ」と笑った顔がとてもチャーミングで可愛かったです。ああもう、チャーリー様にもお尻を(略)

 なんと言うのか、後の3人が自分のやりたい放題やっているのをしっかりと後ろでキープしていると言うか、鵜匠というか、長屋のおとっつぁん(それは外見)というか、彼らを精神的に支えているなぁ、と感じます。

 決して、ドラミングも超絶な事をやってるわけじゃないんだけど、不思議と巧さ、味を感じるんだよね。チャーリー特有の「ハイハット抜き」、今回初めて体感しました。あれ、絶妙だわ。

 それにしても、ふと連想してみると、Stonesのドラムは彼以外想像できなくなってるんだよな。例えば、オマーハキムがStonesに…飛び跳ねすぎ。スティーブガッドが…手数多すぎ。デニチェンが…げっぷ。ジャックデジョネットが…知的過ぎ。


 Stonesはチャーリーで持ってます(断言)


 じゃーじゃじゃっ!


 Brownsugarが終わった途端、キースから聴きなれたフレーズが。


 そのまま棒立ちとなるキース


 ??!!


 7拍ほど置いて、始まるStartmeUp


 これこれ。この危うさ、そしてこの立ち姿の美しさがキースの真骨頂です。一瞬の間で、「こいつミスったんじゃないか?」と焦らせる際どさ。天才的な母性本能のくすぐり方です(注・僕は男です)。RollingStonesって、何時になってもなんかやらかしそうで怖いんだよね。それが魅力でもあるんだけど…。


 Brown sugar~Start me Up~It’s only rock’n rollと続く至福の時間。「あいやいや!あぁぁ~いのぉぉう!▲□☆※▽¨★!ぃえすあぁいどぉぉう!」飛び跳ねまくって、はじけまくって、老いも若きも一体となる4.5万人。端から端まで走りまくり、煽りまくるMick。答える観客。コラージュ写真に重なり、登場した電光スクリーン。4人が大写しに画面に登場。ロックンロールサーカスここに極まれり。もう最高。


 オープニングから立て続けに3曲演ったところで、小休止。

 「ヨンドメェェノトウキヨドウムダァァァア」

 「ツギハシンキヨクディス」


 Mickの拙いニホンゴに続いて、「40Licks」からDon’t Stop


 この曲も結構好きだけど、昔のStonesの音色とはちょっと違うよね。「SteelWheel」辺りからなんだか若干聴きやすい、Popな曲が増えた感じがするんだよな。「Boodoo~」はゴリゴリ昔に戻ってたけど、今のStonesが遣りたい方向はこう言う向きなのかもしれない。昔が好きなStonesファンにとってはさびしいけど、これはこれで、Stonesらしい気がする。



 そんな理由かわかりませんが


 既にお客さんがバテはじめました。


 これもStonesのコンサートならではの光景だろうな。平均年齢が圧倒的に高い故か4曲目にしてお客さんの腕が上がらなくなってきました。全体としてはもちろん、コール&レスポンスはしっかりしてるんだけど、個々で見るとなんだかレスポンス率が落ちてる気がする。まあ、僕の周りの席だけなのかもしれないけどね。でも、ライブが進むに連れて、ノリまくって聴いてるお客さんより、暖かく見つめてるだけのお客さんが多くなってたのは確かです。うーむ。これも醍醐味か?

 でもそれを考えると更にMickの体力に驚かされる。二時間走って歌って、それでも息を切らさないMickは大したもんです。惚れます。


 次に、「All Down the Line」を演奏して、またもやMickのニホンゴ「ツギハ●※★×ナキヨクディス」


 おいおい、どんな曲だよ。ニホンゴわからないよ。と思った瞬間、聞こえてきたのは

 「エィンジィ…ァイイィンジィ」


 おい、「Angie」、アンジーかよ!思わず涙。これを生で聴けるとは。なんだかちょっと前になんかのドラマで使われてたらしいけど、その影響かな。歌詞を覚えてなかったので、一緒に歌う事は出来なかったけど、その分Mickの歌に聞きほれてました。


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 気がついたらMickの手元にブルースハープが。


 そう、これだよ。これを演ってくれなきゃ。是非とも生で聴きたかったんだよ「Midnight Rambler」

 Mickのハープとキースのギター、そしてサポートのキーボードが絡み合いセッションを繰り広げてくれました。やっぱりねぇ、すき放題ソロをやってくれるこういう曲、好きです。どう展開するかわからない、これがライブの醍醐味だよね。ぞくぞくします。


 Mickは真中の花道に降りてお客さんと代わる代わるタッチ。もみくちゃに殺到するお客さん。

 花道を戻っていくMick。そしてその様を不安そうに見つめるキース。にも関わらず、ステージまで戻るとさっさと背を向けてしまう二人。


 いや、あの、そのね。僕は男の子だしいわゆる「やおい」とか「ボーイズラブ」な事は全然知らないし、興味も全くないんですがね。

 でもミックとキースのステージ・インタープレイはめちゃめちゃリアルにカップリングできると思うんですが、世の婦女子のみなさん、如何ですか

 口では反目し会う二人、でも一旦ステージに立つと、ぴったり息の合ったパフォーマンスを見せる二人。目で行う会話。すれ違いざまの小さなアクション。書こうと思えばこんなに書きやすい、素敵なカップリングは無いと思います。どなたか書いてみたらどうですか?でも60歳近い男のやおい本など僕は絶対読みませんが。


 話それました。


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 これもLiveのお決まり「Tumbling Dice」を演奏してみんなで大合唱。


 続いてキースのソロコーナー。


 ギターを左側に置いて、渋い歌声を披露。「Slipping Away」「Happy」…なんだか、昔聞いたSteelWheelTourの時のHappyはまだ若若しかった気がするけど、今回のHappyはちょっと達観入ってた感じでした。枯れたHappy、つうかアルバムに忠実な感じに聞こえました。サビの「ハッピー」の部分も、前はシャウトしてたのに、今回はかみ締めるように歌ってたのが印象的でした。それにしても、Mickが舞台に居るのと居ないのでは、全くカラーが違って見えるのね。いや、キースが悪いわけじゃないんだけどね。キースの舞台も凄いんだけど、あの生命力の塊のようなMickの存在感は、居ない時に改めて感じます。


 キースの「Happy」が終わった時。


 流れてきたのはボンゴらしきパーカッションの音。




 そうそう。これだこれ。これやってもらわないと。



 僕の大好きな、名盤「べガーズ・バンケット」のオープニングナンバー!



 「Sympathy for the Devil」

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━ !!!!




 

 ええそりゃもうノリまくりましたよ。そろそろ年なもので体力が追いつかなくなってきましたが(ミックを見習いたい)、ここぞとばかり、体力の続く限り、あの独特のリズムに乗ってふーふーふーふー叫びまくりました。(曲知らない人には全然わからないな。ごめん。と言うか聴いてください損はさせないから。)


 なんと言うか、この曲を聴くと生きてる気がします。


 Sympathy、は邦題で「憐れむ」って訳されてるけど、微妙に違うイメージを感じてます。なんと言うか、ともに生きてる悦びとか悲哀とか、なんかその辺をごっちゃにした連帯感、見たいな感じで。昔はねぇ(つうか僕が生まれる前だけど)、この曲を演ると何かが起きる、とかなんとか言われて、実際にコンサート会場で殺人が起きた事もあるらしいけどさ、そんなにデモーニッシュな感じしないんだよね。結局はどうなっても生き延びる人間賛歌というか、しぶとく生き延びるRollingStonesを体現してる感じで、好きなんだよねぇ。パーカッションの音も、バッキングピアノの音も、後半のうねるギターの音も、楽しそうでさ。


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 そう、Stonesの凄さの一つはこの「しぶとく生き延びる事」だと感じてます。


 何事でも、続ける、ってのは、相当な根性と体力と、更には運も必要だと思うわけでして。それが更に複数名によって成り立つものならなおさら。それはバンドとか劇団とか、団体に参加してみればすぐにわかる事。


 「引き際を美しく」とか「早逝の天才」とか、どうしても辞めたり死んじゃったりした人や団体を美化するトコロがあるけど、それってなんだかズルイって感じるんだよね。死人に文句言ったってしゃあないもん。「あの時、彼らは凄かった」ゆうたかて、今まだもって凄い人と比べる事できないやん、てな気がして。


 うん、確かに、絶頂期に辞める覚悟の良さ、てのもある種の美しさだとは思うけど、結局はラクな道、て気がしちゃうのよね。ぼろくそに言われても、「昔のほうが良かった」とか言われても、もう辞めろとか言われても、「好きでやってんじゃー」という一点で延々とやり続けるその根性、それがとにかくすばらしいと思う。

 何事も、辞めちゃったら重圧からは開放される。Mickは40年もStonesのフロントとして、その重責を果たしながら、「もう辞めたい」とか「飽きた」とか言わないで、延々とその世界的な重責を背負って、且つ辛そうな顔も見せずに淡々とこなしている。そのかっこ良さったら、あんた、無いよ。おまけに運まで味方につけてるのか(あるいは運が無いからなのか)、途中で殺されたり事故死したりして伝説になる事も無く、ひたすらStonesをやり続けている。これって、えらい事だよ。

 また、その上で一線級の実力を持ちつづける事なんて、奇跡に近いです。つか、衰えを感じて辞める人達も多いんだろうけどさ。衰えず、辞めず、周りに押し潰されず続けるなんて不可能に近いことを平気でやってのけるStones、そこが一番、かっこいい。


 …これは本当に妄想、なんだけど、初代リーダーのブライアンが死んだ時の亡霊が、彼らを辞めさせないようにしてるんじゃないかな、なんて思ったり。ブライアンの屈折した思いが彼らをStonesに縛り付けて、死んで楽になる事すら許さなくしてるんじゃないかな、なんて思ったりします。


 そうそう、ブライアン在籍最後のアルバムでもあるんだよね「べガーズ・バンケット」。


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 なんて事を思いながらふーふー言ってました。


 そのうちに彼らは真中の花道を通って、僕のすぐ左側、5m四方の台へとやってきました。


 え、うそ。


 こともあろうか、手を伸ばせば直ぐ届きそうな、ほんの数メートル先に、ミックが、キースが、チャーリーが移動してきました。


 なんとまあ、僕のすぐ横にあった5m四方の台は、なんとステージだったのだ!(つて、ドラムセット置いてあるから最初からわかってたんだけどね。)


 東京ドームクラスのコンサートだから、正直、彼らの姿は豆粒にしか見えない、とあきらめてました。それでもミックは独特の存在感でものすごく大きく見えたし、その他のメンバーも、肉眼でそれとわかる姿を拝む事が出来たので、それはそれで凄く満足してました。


 でも、それだけでなく、僕の眼と鼻の先に彼らが!!


 今までのステージが豆粒なら、Bステージでの彼らは仏壇ぐらい大きく見えます。というか僕の肉眼でキースの皺が、ミックの唇が、チャーリーのカッパ禿が、はっきりと見えているのです。


 もう、Sympathy for the devilでかなり参ってる僕は、更に壊れました。隣で見てるMIYUKIさんも壊れてました。


 「みぃっくぅ~!!!」

 「っきぅぅぃぃぃ~す~!」

 「ろんんんんんにぃぃぃぃぃいいいいい!!」

 「っちゃぁぁぁぁるるるいいいいいいいぃいぃぃい!!」

 おまけに「だるぃぃぃぃいいいるるるるる!」



 二人とも叫びまくりです。もう逝ってます。いや、逝っても良いです。目で見るだけでエネルギーを注入されてる感じです。目の前でミックが踊ってるよ!キースがギター弾いてるよ!と、それだけで幸せでした。何の曲やったか覚えてないほど自分でも感動してました。(「Manish Boy」やったのは覚えてます。)年甲斐も無いと言うか、30近い男の反応ではないですね。ちょっとだけコンサートで失神する女の子の気持ちがわかりました。



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 正気に戻ったのは、彼らが元のステージに戻った時です。



 あの不安感を掻き毟るイントロが流れてきました。



 この時はまだ、イラク攻撃も始まってなかったけど、この曲を聴くと、今はどうしても連想せざるを得ません。

 「Gimme Shelter」


 女性ボーカルのリサの大迫力。圧倒される壮大さ。この曲は本当にスタジアムで聴くとスケールを感じます。正直、怖かった。ミックの存在感も、この時ばかりはとんでもなく恐ろしいものに感じました。うーん、やっぱり曲のカラーによって、スタジアム向きとか、ライブハウス向きとかあるよね。逆に「Midnight Rambler 」なんかは、ライブハウスで聴いてみたいよね。あと、あの曲もスタジアム向きじゃないんだけどな、でも今日もやってくれないかな…、そう、あれあれ。Honkytonkピアノの音色とけだるい感じのあの曲よ。


と思ったら。


カウベルのイントロは無かったけれど。


あ、そうそう、これこれ。これだよー。Stonesと言えば、これを聴かせて欲しかったんだよー。イントロのギターだけでぞくぞくします。


もう一回やっても良い?




 「Honky Tonk Women 」

キタ━━━━

━━(゚∀゚)━━━

━━━━━ !!!!




 

もう大好きですこの曲。けだるさと言いけだるさと言いけだるさと言い本当にけだるくて良い感じです。この味、このノリ。Stonesだからこそ出せるルーズさ。メロディが良いとか、テクニックが巧いとか、そういうのとはまた違う、ひたすら「味が良い」としか表現のしようが無いフレーズ。僕がカラオケで歌った時は一発で引かれましたが。

 それにしても、この曲を歌ってる時のミックの男っぽさ、やらしさも相当なものです。

 この曲の間、巨大スクリーンにはアニメチックなボンデージの女の子がStonesマークの舌の上で悶えまくるっつうHな映像が流れてましたけど、この映像とミックの声の絡み具合ったらもう。びんびんです。映像だけならまだしも、ミックの声が更に卑猥に鳴り響いています。
もう、びんびんにならないほうがおかしい。半分が男として、その半分がびんびんになったとしても、1.5万人がびんびんです。


…やな想像しました。


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また余談だけど、Stonesのイメージって、僕の中ではHonky Tonk Womenに代表されるタイトなリズムにルーズなギターの、ブルースバンドなんですよね。

 んでもって、Stonesには、唇が半開きになったグラマラスなアメリカンボディの女性が良く似合う気がします(注・Stonesはイギリスのバンドです)。ふと、演奏中周りを見ると、やっぱり、その、なんだ、おっきい女の子や(何がって聞くな)、良いラインをした女の子や(何がって聞くな)、大・小・大といったスタイルの女の子(何がって聞くな)が沢山居て、それがまた場に似合ってるんだよね。どっちかと言うと僕は清楚なイメージの女性も好きなんだけど、Honky Tonk Womenを聴いてると、でっかいのに押し潰されたい気持ちで一杯になります。いやー、いいね。It’s a Hoooonkytonk, Hooonkytonk,Women!!!


 最後に、スクリーンに映し出された会場の女の子に、Mickが

 「カワイイネ。デンワバンゴウオシエテ。」と口説いてました。ご愛嬌。


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 そして一気にラストへ猛突進。


 「Street Fighting Man」「Satisfaction」


 もうこの辺になるとリフだけで白飯5杯はいけます。力の限り踊りつづけます。


 この辺はもう覚えてるとかではなく、身体が動くままに任せてた状態です。途中で息切れしてたお客さんも、もうラスト間近と言う事を感じとって、自殺行為のように叫びまくります。でもやっぱ、「Satisfaction」はみんなで力いっぱい叫んでこそ気持ち良いよね。あいきゃーんげっのー!


 
「Jumpin’ Jack Flash (encore)」


 どこからがアンコールだったのかわかりませんが、狂ったテンションのままおなじみのリフへ。ここでもみんな叫びまくりの踊りまくり。
この辺の曲は、もう曲がどうこうというレベルじゃありません。血です。血。リフを聴いただけで身体が動かないといけません。これこそが魂です。
うおおおぉぉぉおおおJumpin Jack Flaaaash It’s a Gas Gas Gaaaaaas!!





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 そうこうしている間に、コンサートは終了しました。もうへとへとです。見てるこっちがへとへとなのに、ミックがけらけら笑ってるのは正直びっくりです。もう最後は、あがらない腕を前に出して、とにかく拍手拍手。すばらしい時間をありがとう。


 最後に4人揃って、深深と礼。個人的にはダリルも居れて欲しいなーと思ったんだけど、彼はさっさと行ってしまいました。


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とにかく、僕はRollingStonesを見ることが出来ました。

それだけでも、幸せです。

最高です。

生きてて良かったです。

うーん、なんだろね。コンサート後にこれだけすがすがしい気持ちになったのって、久しぶりです。ありきたりな言い方だけど、すごく楽しかった。気持ち良かった。当たり前のコンサートを、当たり前のようにやるStonesのコンサートは、それだけでエネルギーになるのかもしれないなぁ。やっぱり良いです、Stones。聴きつづけてて良かった。本当に、そう思う。




It’s a only Rolling Stones…




But I like it!!